代々木公園やNHK、オリンピックセンターがある周辺は、明治時代は陸軍の練兵場であり、日本航空発始の地であり、青山飛行場でもあったのだ!
JR原宿駅の表参道口をでて3分ほど歩くと代々木公園につきます。
元々は陸軍の代々木練兵場、1964年の東京五輪の時は選手村でした。
見落としがちですが、この代々木公園には日本航空発始の地の石碑があります。
下の映像の画面下に見える直方体の石碑です。
石碑の矢印に沿って歩いていくと、日本航空発始の記念碑があります。
通路の横に見える緑に囲まれた一角です。
現在NHKや代々木公園がある場所は、明治時代は陸軍の代々木練兵場として使用されていましたが、1910年(明治43)12月19日、徳川家の流れをくむ徳川好敏大尉がアンリ・ファルマン式複葉機で先に飛行し、次いで士族の日野熊蔵大尉もハンス・グラーデ式単葉機で飛行に成功しています。
これが日本の飛行機による初飛行とされ、それを記念して記念碑が造られました。↓
ライト兄弟の世界初飛行が1903年12月17日ですから、日本での初飛行は7年後になります。
ここで、ややこしいのは、徳川大尉がフライトに成功した12月19日よりも前の12月14日には日野大尉のグラーデ機が飛行に成功しています。つまり日野大尉のほうが先に飛んでいます。
しかし、日野大尉の初飛行は、飛行ではなくジャンプ程度であったもので非公式との説もあり、19日の軍公式の飛行試験記録会で順番で先に飛んだ徳川大尉のフライトが日本初フライトになっています。
飛行発始記念碑の前には、初飛行に成功した徳川好敏陸軍大尉と日野熊蔵陸軍大尉の胸像が並んでいます。
左:日野熊蔵陸軍大尉 右: 徳川好敏陸軍大尉
(「発祥」でなく「発始」、これいかに??)
ここで、記念碑に書かれている文字をよく見ると「発祥」ではなく「発始の地」とあります。「発始」??
日本における初飛行は確かに代々木公園。
1910年(明治43)12月19日、代々木練兵場で徳川好敏大尉と日野熊蔵大尉が初飛行に成功していますが、ここは代々木練兵場であり飛行場ではありません。当時は飛行場がなかったのです。
その翌年、1911年4月5日に埼玉県所沢に日本初の飛行場・所沢飛行場が開設し、徳川好敏大尉と日野熊蔵大尉が飛行に成功しています。
・・・ですから、代々木練兵場で初めて飛んだという事で代々木が「日本航空発始の地」、所沢飛行場での初飛行成功ということで所沢が「日本の航空発祥の地」と言うことです。
(その後)
第一次世界大戦がはじまった1914年(大正3年)には、陸軍が練兵所内に、青山飛行場を完成、この前年の1913年3月には、青山練兵場で開催された軍のデモンストレーションで、日本初の墜落事故死が起きています。
その後、日本の航空技術力は進化し1939年(昭和14年)には、日本で初めて4大陸と2大洋を連続就航し、民間機として初めて世界一周をなしとげたニッポン号、1940年(昭和15年)=紀元2600年に完成し、太平洋戦争初期には無敵を誇った海軍の名戦闘機・ゼロ式艦上戦闘機などの名機を生み出しています。
「代々木練兵場跡地」は、日本で飛行機の初飛行が行われた場所ということで日本航空協会から重要航空遺産として認定されています。
日本航空協会HP
<代々木公園の歴史>
1909年 陸軍省代々木練兵場
1910年 12月19日 日本初の飛行に成功
1914年 青山飛行場完成
1945年 敗戦により米軍の宿舎地・ワシントンハイツに
1964年 東京オリンピックの選手村に
1967年 東京都立代々木公園として開園
ジョギングや散歩などで市民の憩いの場として親しまれている代々木公園。
ここでわずか100年ちょっと前に、我々の暮らしに欠かせない存在となっている飛行機の初飛行が行われた。そんな歴史があるんですねええ。しみじみ・・。
<<代々木公園への行き方>>
JR原宿から表参道口 徒歩3分
住所:東京都渋谷区代々木神園町(代々木公園内)
東京都公園協会 代々木公園HP
日本航空協会 重要航空遺産(代々木練兵場跡) HP