1868年(明治元年)12月15日は、
北海道の函館に蝦夷共和国が誕生した日です。
(蝦夷共和国とは・・)
江戸時代末期の1868年(慶応4年/明治元年)に始まった旧幕府軍と明治新政権軍との
戦いでは、日本各地で戦闘が繰り広げられました。
そして明治政府軍は鳥羽伏見、上野、東北と各地で旧幕府軍を破ります。
1868年8月、榎本武揚率いる旧幕府海軍は江戸湾を脱出します。
途中、東北地方に立ち寄り旧幕府側の残党勢力や敗残兵たちを乗せて北上し北海道に
上陸します。
旧幕府軍は北海道の函館にある、五稜郭内の旧函館奉行所を攻め落とし、箱館知事を
そして12月15日に箱館政権を樹立。
これが江戸幕府勢力による「事実上の政権」で俗称「蝦夷共和国」です。
「蝦夷共和国」は、五稜郭内の旧箱館奉行所で行政を行っていました。
この時点で、当時の日本には、明治政府と蝦夷共和国の2つの政府が存在したことに
なります。
この「蝦夷共和国」では、貨幣も発行されています。
また、誕生宣言をした12月15日には日本で始めての選挙(入札)が行われ榎本武揚が
総裁に選ばれています。
(正式に「蝦夷共和国」と名乗ったわけではありません)
「蝦夷共和国」という名称は、英国公使館書記官だったアダムズという人が発したと言われています。
1868年11 月4日に、イギリスとフランス両国の軍艦がアダムズとともに箱館に入港し ました。
入港後、榎本たちが英仏領事と英仏艦艦長と会見した後に「事実上の政権(Authorities De Facto)として認定する」と書いた覚書を受け取ります。
これに基づき、アダムズが少し後に書いた書の中で「共和 国(Republic)」と箱館新政権を指して用いています。
このことから「蝦夷 共和国」なる言葉が広まったと言われています。
しかし、翌年、明治政府は、雪の閉ざされる長い冬が終わるのを待ち、雪解けとともに北海道に上陸し旧幕府軍を破ります。
そして、5月18日、旧幕府軍は無条件降伏し蝦夷共和国はわずか実質半年足らずで消滅します。
そして、旧箱館奉行所もやがて解体されます。
(簡単な年表)
1868年(明治元年) 8月19日 旧幕府艦隊が江戸湾から北上、蝦夷地へ
10月26日 五稜郭無血入場
11月 5日 松前占領
12月15日 箱館占領、蝦夷地領有宣言
日本初の箱館政権入札(選挙)実施
1869年(明治2年) 4月16日 明治政府軍が松前奪還
5月11日 箱館湾海戦、土方歳三戦死
5月18日 五稜郭開城降伏、蝦夷共和国消滅
(3年間で政権が4回変わる)
江戸時代、北海道は蝦夷地と呼ばれ 1866年に五稜郭が完成し箱館奉行所が置かれていましたが、2年後の1868年に江戸幕府が崩壊し、代わって新政府側の箱館府が置かれました。
江戸幕府→明治政府→蝦夷共和国→明治政府・・・わずか数年の間に為政者が4度も変わった函館五稜郭、そして旧箱館奉行所。
(五稜郭)
蝦夷共和国の行政本部となった旧函館奉行所は、五稜郭の中にあります。
五稜郭といえば星型のその形が有名です。日本初の洋式城塞の五稜郭は、ヨーロッパで発達した「城郭都市」をモデルとした、土塁が五か所設置されている稜堡(三角形の突端部)式の城郭です。 函館タワーから見た五稜郭。星状態なのがわかります。
ちなみに日本に五稜郭はもう1つあります。長野県佐久市にある龍岡城です。
(五稜郭祭り)
この五稜郭では、毎月5月に2日間にわたり、蝦夷共和国の終焉を演じる「箱館五稜郭祭り」が開かれます。
初日は、新撰組副長で、この戦いで戦死した土方歳三を演じる「土方歳三コンテスト」、2日目には、戦闘に参加した旧幕府軍や官軍に扮した人たちが五稜郭まで行進するパレードがあります。
パレードでは「京都新選組」「海軍伝習士官隊」「外国人」などたくさんの種類が参加し、途中で大砲を撃ったり白兵戦も再現されるなど、見ごたえがあります。
そして五稜郭内に入ると、や明け渡しを再現する「開城セレモニー」などが披露されます。おっさんも2018年に、この祭りを見に行き、行列について五稜郭まで歩きました。
明治初期のほんの一時期だけ、わずか半年足らずですが、
蝦夷地と呼ばれた 北海道の地に、明治政府とは異なる政府が存在していました。
その政府・蝦夷共和国が樹立宣言をした日が12月15日です。
【函館奉行所公式サイト】
<<五稜郭への行き方>>
【JR函館駅から】
市電で「函館駅前」に乗り「五稜郭公園前」下車 徒歩15分程度(運賃:230円)
・函館バスで
「函館駅前」から乗り「五稜郭公園入り口」下車 徒歩10分以内
・函館駅前(4番乗り場)から五稜郭タワーシャトルバスで下車3分(片道200円)
【JR五稜郭駅から】
・函館バス「五稜郭駅前」から乗り「五稜郭公園入り口」下車 徒歩10分程度
ダイヤや料金は変更の可能性があるので確認を!
市電は、函館交通局 0318-32-1730
【蝦夷共和国について書いた本】