「耳なし芳一」、この怪談の名前を聞いたことがある人も多いと思います。
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)著『怪談』のなかで紹介されている有名な怪談です。
この「耳なし芳一」の話の舞台が山口県下関市にある赤間神宮です。
赤間神宮には「芳一堂」というお堂があります。
場所は、平家一門の墓の隣です。
【赤間神宮の平家一門の墓について書いたブログはココ】
なぜ、平家一門の墓のすぐ隣に「耳なし芳一」にちなんだ芳一堂があるのか?
調べたら耳なし芳一と平家との関係がわかりました。
(耳なし芳一のお話)
耳なし芳一のお話をここでおさらいします。現在の赤間神宮がある場所は、かつて阿弥陀寺であり、ここには盲目の天才的な琵琶法師の芳一という人がいて、中でも彼の平家物語の語り弾きは有名でした。
ある日芳一が毎晩どこかに出かけるので、それを不審に思った仲間がこっそり後をつけると、芳一は平家一門の墓地の中で琵琶を弾きが立っていて、その周囲には無数の鬼火が囲んでいたそうです。
仲間が芳一を連れ帰り、調べたところ、貴人になりすました平家一門の怨霊が芳一を
誘い出し琵琶の演奏をリクエストしていたことがわかりました。
周囲の者は、このままエスカレートしたら、芳一が平家の怨霊に殺されてしまうと心配します。そこで和尚は、「お経が書かれている身体部分は、怨霊には透明に映るので見えない」ということを知っていたので、芳一が怨霊から見えないように、芳一の全身に般若心教を書きます。
しかし耳の部分だけ写経を忘れます。
その夜、芳一が座っていると、平家の怨霊が芳一を迎えに来ますが、経文が書かれている芳一の身体は、怨霊には見えません。
そこで怨霊は、写経がない芳一の耳の部分だけをちぎり去っていきます。そして、その後、怨霊は姿を現さないようになります。
…というお話でした。
まさか怪談:耳なし芳一と滅亡した平氏が関係しているとは知りませんでした。
1955年(昭和30年)からは、毎年7月15日午後6時から赤間神宮で『耳なし芳一まつり』(『耳なし芳一琵琶供養祭』)が行なわれています。