1929年(昭和4年)2月23日、
帝都を騒がせた「説教強盗」が逮捕されました!
説教強盗??なんじゃそりゃ と思う方もいるでしょう。
(説教強盗とは)
説教強盗とは、1926年(大正15年)から1929年(昭和4年)の4年間に東京都内に出没した強盗です。
でもタダの強盗ではありません。
金銭や銀行の通帳を奪いながらも、家人を起こし、穏やかな口調で「戸締まりをしましょう」「庭が暗いから泥棒が入りやすいですよ。」「防犯用に犬を飼いなさい」など防犯の心得を2~3時間話し、やがて夜が明けるころ、姿を消す強盗です。
「昭和のルパン」とも言われました。
(説教強盗で犬の値段が高騰!)
この説教強盗は1万3千人もの大捜査網をすり抜けて2年8ヶ月に渡り都内を中心に犯行を繰り返していました。
そのため資産家宅が泥棒対策の防犯用に犬を飼いはじめ犬の値段が高騰します。
また説教強盗対策に関して帝国議会でも取り上げられるほどです。
(説教強盗ついに逮捕!!)
調査を進めていた警察は2月23日の夕方、巣鴨拘置所近くにある妻木宅に保険外交員になりすまして訪問し逮捕します。
こ説教強盗を続けていたのは左官業の妻木松吉(つまき まつきち28才)です。
警視庁での取り調べで妻木は、62件の強盗と、22件の窃盗を自供します。
盗んだ合計金額は千円程度、小切手など361円に上ります。
自供によると、妻木は2年前に押し入った家では、説教を受けお茶を振る舞われ、さらにはお金を渡されたことから、それをヒントに説教強盗を思いつきます。
その後は、強盗に押し入り、説教を行うことで相手をおとなしくさせたあと、明け方の1番電車で逃走していました。
また強盗に入る時には下調べをしたり、庭に石を投げ犬がいるかを確認していたそうです。
説教強盗がちまたの話題になり、各地で同じような手口を行う強盗が出没します。
今回の警視庁の逮捕の決め手になったのは、同じような説教強盗が起きたときに採取した指紋でした。警察はその指紋を元に捜査を続け、逮捕につなげました。
(どんな時代か)
説教強盗が登場した時代は都会では「モボ・モガ」「エロ・グロ・ナンセンス」がはやります。その一方で、金融恐慌から不景気になり人々の生活は苦しく、労働争議小作争議が頻発していました。特に農村部では娘の身売りが頻繁に行われました。
(服役後は防犯で全国行脚も、浅草ロック座にも!)
この説教強盗の妻木は、逮捕され無期懲役の判決を受けます。そして太平洋戦争が終わった2年後の1947年(昭和22年)に仮釈放されます。
その後、自らの体験を元に全国の警察署・宗教団体・社会事業団体などで防犯講演を行い「引っ張りだこ」となり、さらには手記も出します。
浅草ロック座にもゲストで出演しています。おいおい!
そして87歳で亡くなります。
【説教強盗に関する書籍です】
かつて新聞紙上を騒がせた説教強盗。
その説教強盗が逮捕されたのが2月23日です。