日刊  おっさんの人生これから大逆転だぜえ!(日本史+史跡+旅情報)

普通の会社員の“おっさん”が、パワースポットや史跡、戦跡を巡った記録です。旅行に出かけるときの参考にしてね! 史跡や歴史から学び 運気を上げて、“人生大逆転”を狙います。

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5月4日 戦友のために医薬品を島に落とし、そのまま突入した安部正也さん出撃 【妹さんの証言付き】

知覧から特攻に出撃したものの、
整備不良で黒島に不時着。
その島で見つけた瀕死の戦友のために、
島から手漕ぎの船で30時間以上かけて
鹿児島に戻った兵士が、
1945年(昭和20年)5月4日、知覧から再び特攻出撃。
その途中に島に医療品を投下し、
その後、特攻に向かいました。
(安部正也少尉)

戦争末期の1945年(昭和20年)4月29日、安部正也さんが、鹿児島の知覧から戦闘機・屠龍で特攻出撃します。

しかし、途中で機体の不良により、沖縄への飛行ルート上にある、薩摩半島から南へ約60キロの海に浮かぶ周囲20.1kmの島・黒島に不時着します。このとき安部正也さんは、ほとんど無傷で黒島に流れ着きます。

黒島には、先に不時着し、骨折と全身大やけどで重傷を負った、第29振武隊の柴田信也少尉(当時24歳、4月13日知覧基地から隼で出撃)がいました。
この2人は偶然な事に、同じ特操一期でした。
瀕死の状態の柴田さんを救うには、薬が必要だと考えますが、黒島は当時の人口が180人くらいの小さな島で医療品も充実していません。

そのため安部さんは,島民で当時21才の若者・安永克己氏と2人で、手漕ぎ舟で島を出発し鹿児島に向かいます。
手漕ぎ舟ですよ!手漕ぎ舟で激しい潮流がある大海原にこぎ出したのです!!

昼夜をとわず島民の青年と舟をこぎ続け30時間(!!!)、ようやく九州の鹿児島県の海岸にたどり着きます。
そして、翌日の夕刻に、知覧の富屋食堂に姿を現します。

知覧特攻記念館の資料によると、その後、安部正也さんは5月4日に再出撃しました。
その日、一機の飛行機が、黒島上空に現れ、木にあたりそうなくらいの低い高度で飛行し、1つの段ボール箱を落とします。
その表面には「柴田少尉殿」と書かれていました。その中には医薬薬と現金200円、恩賜のタバコ、チョコレート、キャラメルなどが詰められていました。

また、その飛行機は、島にある学校の上空に現れてキャラメルも投下しています。当時はちょうど校庭で朝礼が行われている最中で、子供たちは思いがけないことに大喜びでした。

柴田少尉は、医薬品のおかげで回復し、8月初め、陸軍の輸送潜水艇により帰還しました。
黒島に現れたこの飛行機は、安部正也さんが操縦する飛行機で、黒島上空で薬などを
投下し、その後、特攻し21歳で散華したと言われています。
安部さんの戦死後の階級:は大尉になります。

その後、安部さんを鹿児島まで送り届けた安永克己さんは「私が安部さんを鹿児島に送り届けなければ安部さんは死ななかった」という後悔の念を抱き、段ボール箱が落とされた5月4日を安部さんの再出撃の日として、島内に、安部正也さんの慰霊碑を建立し、毎年、慰霊祭に参加していました。
(安永さんは2022年(令和4年)12月30日に心不全でお亡くなりになりました。98歳でした。)
慰霊祭には、この妹さんも毎年のように参列していたそうです。

安部さんの話は本になっています👇

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(妹さんの後悔)

2024年(令和5年)に、この安部正也さんの妹さん(当時90歳)に、お話を伺う機会が
ありました。
安部さんは、福岡県古賀市生まれ。福岡黒田藩主と遠縁の家柄だそうです。その後、家族で満州に渡りますが、安部さんは明治大学を卒業し日銀に就職が決まります。しかし第24振武隊の隊員となります。


安部さんは、妹さんにとって自慢の兄でした。
当時、大学卒が今よりも貴重だった時代に、満州から明治大学に進学し、さらに日銀に就職したエリートだったのです。しかも優しい心の持ち主で多くの方から慕われていたそうです。
妹さんは、出撃を待つ兄に対し「御国のために戦ってください、そして立派に命を捧げて下さい」という手紙を書いたそうです。
妹さんは、その手紙を書いたことを、「私が死ぬことを望んでいた。そんな手紙を兄に出したことを後悔している」と話してくれました。
おっさんが「いや、それはそういう時代背景ですから、当時としては仕方がない事ですよ」と何度話しても、妹さんは「本当に後悔している・・・」と何度も言われていました。

【安部さんの話をyoutubeにUPしました】

・・・というわけで、

5月4日は
特攻隊員安部正也さんが再出撃し、
黒島に医薬品などを投下し
突入したと言われる日です。