日本でも数少ない
駅のホームで駅弁を売る光景を見ることができる
福岡県北九州市にあるJR折尾(おりお)駅。
この駅で駅弁を売っている会社が
今月創業100年を迎え
同時に
売られている名物駅弁「かしわめし」も
発売から100年を迎えました。
そこで、今月限定で、
発売当時=100年前の1921年(大正10年)のデザイン紙の駅弁が復刻版として販売されるということで、
現地に行き購入して食べてきました!!
そのまえに基礎情報・・・
駅のホームで駅弁を販売しているのはJR折尾(おりお)駅。
1891年(明治24年)2月28日開業で住所は福岡県北九州市八幡西区堀川町です。
折尾駅は、福岡県の博多と北九州市の間にあるJR鹿児島本線の駅で
古くは筑豊炭田の輸送路として栄え、今では高校や大学がある学園都市の駅です。
下の路線図で分かるように鹿児島本線と若松線がクロスする十字路、交通の要所に
あります。
(ホームで駅弁を売る小南英之さん)
この折尾駅でのホームでの駅弁売りは1921年(大正10年)から続いています。
現在、駅弁を売る人がいるのは折尾駅の4.5番ホーム。
在来線や特急が停車すると、ひらひらと動かしながら「おりおめいぶつ~かしわめし~」という声が響きます。
駅弁を売っているこの方は、小南英之(こなみ ひでゆき)さん。
小南さんは、53歳から駅弁売りを始め、今では朝8時から夕方4時まで駅弁を
売っています。
基本的には水曜がお休みですが、それ以外の日も休むことがあるそうです。
(開業当時=100年前のパッケージ)
JR折尾駅のホームで売る弁当のなかで1番人気なのが「かしわめし」。
大が800円 小が700円。下の写真は大です。
7月は、100年前に創業を開始した月という事で、販売当初の1921年(大正10年)当時の
包み紙で包んだ復刻版を販売しています。
早速購入しました。
その包み紙を見て見ると・・・。
左上には「百周年記念 復刻掛け紙」の文字が・・。
販売当時=1921年(大正10年)の値段が30銭だったようです。
当時の小学校教員の初任給が50円程度でした。ちなみに現在2021年の小学校教員の
初任給は20.7万円です。
(送迎遠慮當選標語)
包み紙に書かれた「送迎遠慮當選標語」・・この文字を今風に書きますと「送迎遠慮当選標語」。
どうやら門司鉄道局で、標語を募集したようで、その一等から三等までが記載されて
います。
実は、これ、今でも通用する内容の標語です。
守らない人が多かったんでしょうかねえ???
(味は抜群!!)
創業当時の限定復刻版の包み紙をほどき、お弁当のフタを開けるとご覧のように
カラフル!!
この鶏のスープで炊いた鶏の炊き込み御飯の上に鶏肉と錦糸卵、きざみのりを載せた
お弁当です。 米はモチモチして、かしわの肉は柔らかくおいしくいただきました。
遅れましたが、このお弁当の名前の「かしわ」とは、西日本で鶏のことをこう呼びます。
【駅弁を販売している東筑軒の公式HP】
(1921年・大正10年とは・・)
それでは、この「かしわめし」が誕生し折尾駅で販売された1921年(大正10年)は
どんな時代だったかを見て見ましょう。
この年に起きた大きな出来事は・・・
10月14日に鉄道開業50周年を記念して東京駅の丸の内北口に鉄道博物館(初代)が
開館します。
11月に東京駅で現役の首相の原敬が暗殺されます。
11月25日、皇太子(のちの昭和天皇)が摂政に就任。
12月、日英同盟の廃止
またこの年には、当時国際港として栄えた北九州の門司港に、三井財閥の社交場として三井倶楽部が完成します。翌年にはアインシュタインが訪日しここに宿泊しています。
この当時の建物はJR門司港駅の正面にあり今はおいしいフグ料理屋になっています。
こんな年に、
かしわめしが誕生し折尾駅で売られるようになりました
(ホームでの駅弁売りは日本では希少)
昭和30年から40年ごろには、駅のホームで駅弁を売っていて、列車の窓から駅弁を買い、列車の中で食べるという光景が日本各地で見られました。
しかし、最近はほとんど姿を消しました。
JR折尾駅4.5番ホームに立つ駅弁売りの小南さんのような人は日本にも数人しかいない
ようです。
<<駅で駅弁を売っているJR折尾駅への行き方>>
住所:福岡県北九州市八幡西区堀川町
【この地図の左下にある四角い写真をクリックすると航空写真に変わります】
★今回のブログ掲載には、小南英之さん、東筑軒様に撮影および掲載の承諾を
頂きました。有難うございました。
1世紀にわたり愛され続けている
折尾の「かしわめし」、
皆さん、ぜひどうぞ!!